妖怪について学ぶ
創作機動部隊 episode.07
妖怪とは何者か?
先日12月22日、私、創作起動部隊の窓井来足*1は。
相模原市立博物館で行われている「妖怪講話」。
その1回目「相模原の妖怪~その地域性と民俗学的分類~」を受講してきました。
さて、この講話でまず最初に妖怪の定義についての話があり。
今回扱っているものはキャラクター化された妖怪だけではなく。
不思議な現象、存在、場所、そして不思議な事を引き起こす行為を妖怪として扱うという話でした。
個人的にはこのうち最後の行為、例えば丑の刻参りやコックリさんも「妖怪」として扱われているのが興味深く。
コックリさんのような降霊術はまだ霊を降ろしているイメージだったので妖怪扱いでもわかりやすかったのですが。
丑の刻参りは呪いの類だと思っていたので意外でした。
が、その呪いを何か特殊な現象と考えれば先の「不思議な現象」に含まれるので妖怪と言えるのかもしれません。
また、妖怪研究においてはUFOやUMAの類も妖怪として扱うという事で。
この辺りは自分としては例えば河童は昔の人にとっては現代でいうUMAに近い存在だったなどの理由でわかりやすかったのですが。
考えてみれば。
かつて妖怪現象を記録していたのは陰陽師のような人々で。
現在、UFOやUMAは仮に研究するなら科学なのですが。
陰陽道も科学も。
「その時代において、世界の法則を説明する最先端のもの」としては一致しており。
その「世界の法則を説明するもの」によって「よくわからないもの」を扱ったものが妖怪ならばUFOやUMAもまた妖怪と言えるとも思いました。
さて、そんな妖怪は日本全国に約3400種目あるらしく。
ちなみに、この「種目」というのが妖怪研究における妖怪の数え方らしいのですが。
その中には「名称は同じだが、内容が違う」という場合もあるという話でした。*2
そしてその中で相模原には妖怪が23種目あるという事でしたが。
個人的にはどこからが妖怪でどこからが神扱いなのかが気になっており。
先ほどの妖怪分類の話題の際に柳田國男の「妖怪は零落した神」という意見も紹介されていて、この考え自体はそうではない例もあるため批判も多いのですが。*3
それは兎も角、この分類だと妖怪と神に違いがある事になると思います。
ですが例えば、先の妖怪分類でいう「不思議な現象や存在」には神も含まれるのではないかと個人的には気になっており。
また、相模原のみとされる妖怪である「棚婆」と「土用坊主」のうち土用坊主は。
検索すると「民間神」という扱いで紹介されており、更に相模原の妖怪一覧には疫病神や貧乏神もいるので。
この辺りの扱いの違いは興味があります。
ちなみに私の制作している『超伝神トライブレイバー』において、神は。
「超常的な力、あるいはそれを持つ存在のうち、神として信仰されているもの」なので、基準はむしろ人間側の認識に由来するとなっており。
トライブレイバーの力を授けた存在も、武神として祀られているから神なのですが。
一方、薬師池にいる蓮澄蓮*5は人々からは「仏様の使い」と認識されているので種族としては神ではない。
みたいな違いがあったりします。
話を妖怪に戻しますと。
先に書いたように、相模原のみに伝わるという妖怪として「棚婆」と「土用坊主」というのがあるという話があり。
これが今回自分が知ったことでは一番興味深かったことで。
実のところ、今回この講座に行った理由には。
自分が町田の妖怪について調べている関係で、近隣の地域のものも知りたかったからというのもあるのですが。
町田にも町田のみに伝わっている妖怪はあるのかというのが気になりました。
さて、そして最後に。
妖怪に関しては「どこに出るのか」や「正体は何か(何と扱われているか)」といったような分類法もあるらしく。
そのうち場所による分類では、相模原のものは里、道、家のような人間のテリトリーに近い場所によく現れるという話で。この理由が気になりました。
妖怪を例えば「危険な場所に行かないようにするために生まれた話」あるいは「何かの事件を妖怪の仕業にした」だとしたら。
自然の中のような場所の方が話がありそうなのですが。
もしかすると相模原の妖怪の物語を、物語が成立した時代による分類をして、町の歴史と比較すると何かわかるかもしれません。
と、このような形で非常に興味深い内容だったのですが。
来年の3月1日にも「妖怪と口承(仮)」という民俗学講演会があるそうでして。
私としては是非、そちらにも参加してみたいと思っています。
ちなみに、帰りには今回話題にも挙がっていた「でいらぼっち」の話が伝わる鹿沼公園にも言っていました。
(この記事で活動している〈ヒーローを召喚するために町田を調査している部隊〉としての創作機動部隊はフィクションですが、創作活動や博物館を訪れた事などは実際に行っています)