続〈虚構世界〉について
〈キャラとしての力〉とは
実在しない存在を
【麻幌さとり】*1
さて、昨日の記事で我々がいた公園から場所を変えたところで。
今日は何故、今の状態では大体の事は何でもできるが。
一方で我々の目的は達成することはできないのかについて話してもらうぞ。
【高座水槌】*2
まあ、いいけど。
とりあえず、その前にちょっと1杯コーヒーでも……あ、さとりんも飲む?
【さとり】
さとりんっていうな!! ……いや、それ以前に。
私にコーヒーを出しつつ、自分は酒を飲もうとするな!!
【水槌】
え? あたしのもコーヒーだよ? これ。
【さとり】
そんな透明でアルコールの匂いがするコーヒーがどこにある!?
【水槌】
何言ってんの? 普通に黒いし、香りもコーヒーのじゃん。
……ってまあ、このやりとりが「この状態では何でもできる」けど。
一方「あたしたちの目的は達成できない」事に繋がるんだけど。
【さとり】
何がだ!?
【水槌】
現状でのあたしたちの目的、つまり。
読者にとっての現実に、あたし達が〈キャラクターという概念〉になってやってきている。
その理由は何だったっけ? さとりん?
【さとり】
それは「我々の元いた世界」つまり読者からしたら異世界で倒したあいつ……あの魔王のような奴が。
読者にとっての現実で復活しようとしているからそれを阻止する事……だろう。
【水槌】
そう。そしてその為にキャラクターとなってこの世界に来ているあたし達は。
多くの人にその存在を認識してもらう事で、力を得る必要があるわけだけど。
そのキャラクターっていう「実在しない存在」が力を持つためには。
単に多くの人に知ってもらうだけじゃなくて――
【さとり】
その多くの人がおよそ共通のイメージをキャラクターに対して持っている事。
が、必要になるだろうな。
例えば同じ名前のキャラクターをみんなが知ったとしても。
それぞれが別の容姿や性格を思い浮かべるのなら。
それは「多くの人に存在を認識してもらっている」とは言えないだろうし。
【水槌】
そうそう。
あくまでキャラクターの存在をしっかりしたものにしているのは人々の認識だから。
その認識が人によってあまりに食い違っていると、そのキャラに力はない。
って事になるわけ。
【さとり】
ん……ああ、そうか。
だから今みたいに、読者からしたらコーヒーなのか酒なのか、どちらともとれるものができてしまったり。
あるいは登場人物の都合で突如場所が変更されたりするような、今のこの世界のままだと――
【水槌】
そ。何でもありすぎるから、逆に〈キャラとしての力〉は集まらないわけ。
これは例えばどんな強敵が出ても。
後付けで「そいつを倒せる能力が主人公にあった」みたいになったら。
そんな主人公の存在には説得力がない……みたいな話だよね?
とはいっても勿論、あたしたちは本来。
このブログの読者にとっての現実世界にはいない存在なわけだから。
厳密にいえば、どこまで行っても理屈に合わない点は出てくるんだけど。
【さとり】
その辺りはあれなのだろう?
さっきの話だとあくまで大切なのは人々の認識だから。
読者や視聴者のようなファンが「これは有り」と判断しているかの方が。
実際に理屈に合うかとか、矛盾がないかとかより大切になるのだろう?
【水槌】
ん? 案外呑み込みが早いじゃん。さとりん。
【さとり】
いや何かこの内容、この前お前から勧められた映画の。
「自分たちはフィクションの人物か、実在の人物か」みたいなやつを踏まえると。
ちょっとわかりやすかったというか……。
もしかして、お前。それを狙ってあの映画を私に勧めたのか?
【水槌】
え? あ、いや……ま、まあね~。*3
……んまあ。それはともかく。
あまり自由にやりすぎるキャラや設定がブレるから。
結局、あたしたちの目標は達成できないってことは、わかってくれた?
【さとり】
ああ、まあ何となくだが……な。
しかし、そうなると。
さっきお前が飲んでいたのはやっぱり酒なんじゃないか?
【水槌】
え? 何でそうなるの!?
【さとり】
いや、読者はきっと。
お前より私の方がちゃんとした事を言うと思っているだろうからな。
読者の認識が大切ならば、当然、あの飲み物は酒だったことに……。
【水槌】
ふうん。それはあれかい?
さとりんは、この水槌おねーさんと第二ラウンドをやりたいから。
喧嘩売っているって解釈で構わないかい?
【さとり】
いや、私は単に思ったことを言ったまでだが……。
まあ、それこそ。読者がこの後またバトルになる展開を望むなら。
それを現実にしても良いのかもしれないが……どうする?
(この記事で会話している麻幌さとり、高座水槌は架空の人物です)