超伝神トライブレイバー制作プロジェクト

東京都町田市を舞台にしたローカルヒーロー『超伝神トライブレイバー』の制作プロジェクトのブログです!

『ナオミとカナコ』を読む

読書感想第4回目

今回はサスペンス小説

 

(この読書感想にはネタバレが含まれます)

 

【窓井来足】*1

 さて、今回読んだ作品は『ナオミとカナコ*2という犯罪サスペンス小説なんだけど。

 内容を簡単に説明すると。

 

 夫からDVを受けている女性と、その友人の女性が。

 夫を始末する計画を立てて、それを実行に移すが……。

 みたいな話で。

 

 個人的にはまず、そもそもこの作品で描かれている恋愛や結婚が気に入っていて

 

【桑林識句】*3

「気に入っていて」って。

 DVや殺人事件に発展する恋愛や結婚の何処に気に入る要素があるのよ。

 

【窓井】

 ん? まあ、恋愛や結婚の行きつく先なんてロクなものじゃない

 っていうのが、僕の価値観と一致しているからかな?

 

【識句】

 なるほど。そういう意味の気に入っているなのね。

 ……いえ、それはそれでどうかと思うのだけど。

 

 というか、あなたにとってはキャラクターとは言え。

 高校生である私にそんな話する訳?

 

【窓井】

 ん? 高校生ともなれば恋愛なんてドロドロしたものだと思っているだろうし。

 まして文学少女なら大体、この世の闇とか理解しているだろうから。

 構わないんじゃないか?

 

【識句】

 何か文学少女に対して偏見がある気がするし。

 仮にそう思っていてもあまり本人に直接言うべき内容ではないと思うのだけど。

 ……まあ、いいわ。

 

 話を戻すと、気に入った点の1つはその恋愛や結婚の描写という事でいいのね。

 

【窓井】

 うん。特にこの社会だと結婚後はどうしても男性が有利になるから。

 その辺りを問題として書いていた事とかが気にいっていて。

 

【識句】

 男であるあなたが?

 

【窓井】

 まあ、この場合性別の問題というより。

 閉じた世界の中では結局、力の強い人が支配者になってしまう

 という事を問題視している辺りに共感していて。

 

 現代社会においては結婚の場合。

 その支配者側に男性が回りやすいというだけなんだけど。

 

【識句】

 まあ、その閉じた世界の内部で仮に話し合いをしたとしても。

 経済的に、あるいは物理的に力の強い人はいざとなったら。

「話し合いを打ち切る」とか「相手を脅す」という手段を使うことで。

 自分の意見を通せるでしょうから。

 話し合いで解決というのも、平等公平なやり方にならないでしょうし。

 

【窓井】

 そうそう。

 それに立場が弱い側は、強い側の目を気にして行動を制限しないとならないけど。

 強い側は、弱い側が我慢している事なんて全く気がつかないし……っと。

 

 いや、まあ勿論。

 世の中にはお互いに幸せな恋愛や結婚もあるだろうけど。

 僕はそういうの、あんまりわからないし。

 

【識句】

 で、それをテーマとして書いているところが気に入ったというのは分かったけれど。

 他に気に入ったところはないのかしら?

 

【窓井】

 勿論、他にも気に入った場所はあって。

 いや、むしろこっちの方が他の人からも共感は得られやすそうな部分なんだけど。

 

【識句】

 共感を得られやすそうと思うなら先にそっちを言いなさいよ。

 ……で、どんなところなの?

 

【窓井】

 いや、一般人が犯罪に手を染めて。

 いつバレるのか、あるいはバレたとしてどう逃げるのか。

 というあたりの精神面の描写が良かったなと。

 

【識句】

 確かに、その辺りはこの作品の見どころだったわね。

 私も最後の最後まで、主人公達の犯行がバレて、捕まるんじゃないかと。

 ハラハラしながら読んでいたし。

 

【窓井】

 まあ、この辺りが気に入った理由には。

 個人的に、僕があまりこういう「一般人が罪を犯す」という作品を、今まで読んでいなかったからというのがあるのかもしれないけれどね。

 

 同じ「悪事がバレたらどうしよう」という内容でも、明確に悪人が主人公になっている作品……っていうべきかはわからないけど。

 兎も角、そういうのとは違うから、そこが面白いっていうのがあって。

 

【識句】

 明確な悪人というのは、例えば主人公が物語に登場した時から泥棒とか、暗殺者みたいな。

 そういう設定の作品という事でいいのかしら?

 

【窓井】

 そうそう。そういうのだと最初から主人公は違法な世界で生きているから。

 読者も主人公が罪を犯したという事自体はそんなに意識しないんだけど。

 この作品は、あくまで一般人が主人公だから「罪を犯した」というのが心理面で非常に大きくて。

 

【識句】

 で、そんな主人公の二人についてだけれど、ラストについてはどう思ったのかしら?

 

【窓井】

 あそこで終わるのは丁度良かったんじゃないかと思うよ。

 まあ、勿論バッドエンドの作品として逮捕されたり、あるいは夫の親族に復讐されたりして終了ってのもありだとは思うけど。

 そうならずに、一応逃げ切ったような感じで終わっている辺りは上手いなと思ったし。

 

【識句】

 そうね。一方でこの先の二人の未来に不安もまだ残された状態で終わっていて。

「犯罪をしたのにハッピーエンド」みたいな形にもなっていないから。

 そういう点でもあのあたりで終わるのは良いのかもしれないわね。

 

【窓井】

 そうそう。バッドエンドにもなっていないけど。

 かといってすっきり終わっている訳でもないというのは。

 ある意味、あの二人の今後の人生そのものだと思うし。

 

【識句】

 確かに、一生、秘密と不安を抱えて生きていくなら。

 すっきりとした幸せを手に入れる事は無さそうよね。

 

【窓井】

 うん。まあこんな感じで。

 主人公達に読者が感情移入できる魅力的な小説だったので。

 興味がある人は是非読んで欲しい作品でした。

 

 ――さて、このコーナー。

 今後もまた、町田が登場する作品について感想を書いていこうと思っているので。

 その際は、是非、よろしくお願いいたします!!

 

(この記事で窓井と会話している桑林識句は架空の人物ですが、読書の感想については実際に窓井が読んで感じた事を元にしています)

*1:まどいきたる。このブログを書いている人で『超伝神トライブレイバー』の作者。

*2:著:奥田英朗、出版:幻冬舎

*3:くわばやししるく。『トライブレイバー』に登場する文学少女